【9月25日 AFP】英王室は25日、前会計年度の財務報告書を公表した。アンドルー王子(Prince Andrew)のゴルフ旅行を含め、王室メンバーの旅費が公費でまかなわれたことを擁護した一方、王室の財務が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で受けた打撃について警鐘を鳴らした。

 前会計年度のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の公務や王宮の維持管理の費用などを支出する王室援助金(ソブリン・グラント、Sovereign Grant)は、前年度から微増し、8240万ポンド(約110億円)だった。

 財務報告書は王室メンバーの旅費も明らかにしている。アンドルー王子が2019年7月にチャーター便を使って北アイルランドのゴルフクラブに行った際の費用は1万5848ポンド(約210万円)だった。王室関係者は、関連団体の後援者としての公務であり、スケジュールに合う定期便がなかったためチャーター便を使ったとしている。

 英国は3月、新型コロナウイルス対策としてロックダウン(都市封鎖)を始めた。王宮を訪れる観光客の減少で王室の収入は大幅に減った。

 しかし、マイケル・スティーブンス(Michael Stevens)内帑(ないど)金(王室の私的な費用に充てられる公金)管理官は報道陣に対し、多くの国民が収入の減少や失業の憂き目に遭っている今、王室の減収を補うため納税者にさらなる負担を求めることはせず、自助努力と効率化で王室の財務が受けた打撃に対応していくと述べた。

■ヘンリー王子夫妻は英国で「賃貸」

 今年に入り、「経済的に自立」するとして英王室を離脱したヘンリー王子(Prince Harry)の広報担当者は今月、王子がロンドン近郊のウィンザー城(Windsor Castle)の敷地内にある住居フログモア・コテージ(Frogmore Cottage)の改修費用240万ポンド(約3億2000万円)を返金したと明らかにした。動画配信大手ネットフリックス(Netflix)と最近結んだ契約で得た資金を充てたと報じられている。

 自分たちの行動を細かく調べるメディアへのヘンリー王子夫妻の不満は、2019年9月に10日間の日程でアフリカ南部を訪問した際に頂点に達した。この時は24万5643ポンド(約3300万円)の公金が使われた。

 王室関係者によると、米国に移住したヘンリー王子夫妻は、英国滞在時の住居としてフログモア・コテージを維持する意向で、改修によって価値が上がり高くなった賃貸料を支払っているという。(c)AFP/Jitendra JOSHI