【1月29日 AFP】未成年少女を性的目的で人身取引した罪で起訴され、勾留中に死亡した米富豪、故ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)被告の捜査をめぐり、支援すると公言した英国のアンドルー王子(Prince Andrew、59)から米連邦捜査局(FBI)が得られた「協力はゼロ」だった。米検事が27日、明らかにした。

 アンドルー王子は、エプスタイン被告があっせんした当時17歳の少女と性行為をしたとの疑惑を否定しており、昨年11月、「必要ならば、いかなる適切な法執行機関の捜査を支援する意志がある」と明言していた。

 だが、同被告の共犯者の有無を捜査している米ニューヨーク州南部地区(Southern District of New York)連邦地裁のジェフリー・バーマン(Geoffrey Berman)連邦地方検事は、アンドルー王子はFBIや自身の事務所からの事情聴取の要請にこれまで返答していないと指摘。記者らに「きょうまで、アンドルー王子がもたらした協力はゼロだ」と述べた。

 英バッキンガム宮殿(Buckingham Palace、英王室)はこれまでAFPの取材に応じていない。

 エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の次男であるアンドルー王子は昨年の英BBCとのインタビューで、エプスタイン被告との自身の交友関係を擁護。激しい批判を浴びて、公務から身を引くことを余儀なくされた。アンドルー王子は同じインタビューの中で、17歳で人身売買されエプスタイン被告の友人との性行為を強要されたと主張しているバージニア・ジュフリー(Virginia Giuffre)さんと性的関係を持ったという疑惑も否定した。

 エプスタイン被告の被害者らの弁護人は28日、米当局に協力するようアンドルー王子に強く呼び掛けた。被害者5人を代表する弁護人のグロリア・アルレッド(Gloria Allred)氏は英BBCラジオ(BBC Radio)で、王子にはFBIの聴取に応じる「道義的義務」があると明言、応じないことは「被害者らに害を及ぼす」ことだと話した。

 バーマン氏は、捜査への個人の協力の有無について通常言及することはないが、アンドルー王子は支援すると明言したため例外だと説明している。(c)AFP