【9月21日 AFP】フランス検察当局は先週、自閉症児の治療法として抗生剤などの薬を処方する医師ら数十人に対し、これらの薬が子どもたちの健康を害する恐れがあるとして、調査を開始したと発表した。

 調査に先立ち医薬品・保健製品安全庁(ANSM)が、一部の医師らが自閉症児らに対し、金属中毒の治療に使われる抗生剤などを長期にわたり処方していると警告していた。

 自閉症に関連する支援団体「SOSオティスム(SOS Autisme)」の代表で、こうした処方例についての著作があるオリビア・カタン(Olivia Cattan)氏によると、国内で約50人の医師が、最大で5000人の子どもたちにこのような治療を行っているとみられるという。

 こうした処方は、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)の原因となるウイルスを共同発見し、2008年にノーベル医学生理学賞(Nobel Prize in Physiology or Medicine)を受賞したリュック・モンタニエ(Luc Montagnier)氏の着想に関連があるとされるが、この独自の説は近年医学界から繰り返し否定されている。

 ANSMによると、自閉症児らには抗生剤や抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬の他、主に重金属中毒が起きた際に限定して使われる薬剤が処方されてきたという。

 ANSMは「これらの薬の効果は証明されておらず、特に長期間使用されれば子どもたちを危険にさらすため、こうした治療法は中止するよう正式に勧告する」としている。

 消化器系や心臓血管、皮膚障害といった悪影響に加え、抗生剤の誤用は将来の治療の有効性を損なう薬剤耐性の形成につながる恐れもある。(c)AFP