■寄せ集めでまとまりに欠けるeスポーツの管理体制

 中国ゲーム大手の騰訊控股(テンセント、Tencent)の支援を受けて新たに設立された組織「グローバルeスポーツ連盟(GEF)」のクリス・チャン(Chris Chan)会長は、信用が問題の一つとなっており、健康と福利も配慮が求められる領域の一つだと指摘している。

 チャン会長によると、12月に設立され、シンガポールに本部を置くGEFは「総合的な健全性」に重点を置いており、組織の取り組みを指導する「教育・文化・健康」委員会をすでに立ち上げたという。

 コーチ陣が、選手の健康に配慮する場合ももちろんある。eスポーツは2019年、東南アジア地域の多種スポーツ選手権大会「東南アジア競技大会(Southeast Asian Games)」で初めて正式競技に採用されたが、この大会に先立ち、多くのチームが身体運動を日常的なトレーニングに組み込んでいた。

 だが、さまざまな企業団体の間に競争が生じている結果として、プレーヤーの健康から不正行為までの重要な問題が十分に対処されないままになっていると、チャン会長は指摘。「それぞれが別々の方向に向かおうとしている」として、「フェアプレーや選手の健康面のことなど、さまざまな問題に誰も対処しようとしていない」と述べた。

 eスポーツのガバナンス(管理体制)は依然として寄せ集めでまとまりがなく、GEFにも韓国に拠点を置く国際eスポーツ連盟(IeSF)などの競合団体が複数存在する。

 ニューズーのeスポーツ部門を統括するリーマー・リートケルク(Remer Rietkerk)氏は、GEFは、ゲームメーカー大手テンセントの支援を受けている唯一の団体なので、なおさら、eスポーツの主要な連盟と見なされるための「重大な」課題に直面していると指摘した。

 テンセントは、「リーグ・オブ・レジェンド」の開発元の米ライアットゲームズ(Riot Games)を傘下に置き、大規模な競技大会を支援し、多くのゲームメーカーにも投資している一方、GEFはまだ他のゲームメーカーと協定を結んでいない。

 リートケルク氏は、AFPの取材に「本当に有意義な、世界規模の協調を獲得するには、メーカー各社からの積極的な参加が不可欠だ。あらゆる種類のイベントや収益をもたらす放送の開催に対して賛成か反対かを表明できるのは、メーカー各社だからだ」と語った。(c)AFP/Catherine Lai