【9月17日 AFP】台湾の呉釗燮(Joseph Wu)外交部長(外相に相当)は16日、中国が武力行使に訴える恐れがあるとして、台湾と周辺地域を中国の「拡張主義的」動向から防衛するための支援を国際社会に求めた。

 呉氏は仏テレビ局フランス24(France 24)に、台湾は「共産主義の中国に民主主義が乗っ取られないよう防衛する最前線」に立っていると説明。中国が近年「台湾に対する軍事的脅威を強めており」、台湾近海での軍事演習を拡大していることに言及して、他国からの支援の必要性を訴えた。

 先週30機を超える中国軍用機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入したことについて、呉氏は「非常に脅威的」と指摘。「台湾はここ数年間、自前の防衛力強化に懸命に努めてきた。だが同時にわれわれは、民主主義国家としての台湾が、影響力の拡大を試みる独裁国家の中国に脅かされていることを国際社会に理解してもらいたい」と述べた。

 独自の政府を持つ台湾を、中国は自国領とみなし、武力による統一も辞さない構えを取っている。

 台湾では2016年に、中台を不可分と位置付ける「一つの中国」原則を否定する蔡英文(Tsai Ing-wen)総統が就任。以来、中国政府は台湾への外交、経済、軍事的圧力を強めてきた。

 呉氏は、対中戦争について「台湾に対する中国の脅し方を見れば、現実的な可能性がある」と主張。地域の安定性と複数の国家の主権を中国が脅かしている実例として、南シナ海(South China Sea)や対インド国境、香港での中国の行動を挙げた。

 その上で「中国の拡張主義的動機を阻むため、志を同じくする国々や同胞たる民主主義国家がこの地域にもっと注意を払い、互いに助け合う必要があると感じている」と呉氏は語った。(c)AFP