【9月13日 AFP】イランが12日、2018年に男性を殺害したとされるレスリング選手の死刑を執行したと発表したことを受け、国際オリンピック委員会(IOC)は「ショック」を受けたと表明し、同国を非難する声が広がっている。

 死刑になったのはナビド・アフカリ(Navid Afkari)選手(27)で、南部シラーズ(Shiraz)の刑務所で刑を執行したことを、ファールス(Fars)州の検事長が国営テレビのウェブサイトで明かした。

 司法当局によれば、アフカリ選手は2018年8月2日、水道局に勤めるホセイン・トルクマン(Hossein Torkman)さんを刺殺したとして、「故殺」罪で有罪となっていた。当日は経済的、社会的な苦境に抗議する反政府デモがシラーズをはじめとする都市部で起こっていた。

 IOCは、死刑執行は「ショック」であり、世界中の選手や国際団体が出していた執行停止の嘆願が聞き届けられなかったことに「深く動揺している」と話した。IOCは声明で「われわれの思いはナビド・アフカリの家族と友人とともにある」と述べている。

 英ロンドンに拠点を置く国際人権団体のアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、「秘密裏に処刑を行うことは恐るべきゆがんだ正義であり、今すぐ国際的な行動を取る必要がある」と話している。

 国外の報道によれば、イランは拷問によって引き出した自白をテレビ放送し、それに基づいて有罪を宣告した。報道後は釈放を求める活動がインターネット上で始まり、アムネスティも「自白」映像を流すのは「被告の権利の侵害」だと主張して放送の停止を繰り返し求めていたが、検事長によれば「被害者の家族の要望」により刑が執行されたという。

 アフカリ選手の担当弁護士はツイッター(Twitter)で、シラーズでは多くの人が集まって、アフカリ選手を許すよう被害者の家族に求めていたことを明かした。(c)AFP