【9月9日 AFP】北朝鮮の国営メディアは9日、台風により橋59本が崩壊し、住宅2000戸超が損壊または浸水したと報じた。また、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-un)朝鮮労働党委員長が、被害の影響は年末までの政府計画にも及ぶと述べたという。

 北朝鮮の東岸では先週、台風9号(アジア名:メイサーク、Maysak)により豪雨が数日間続いた。同国はそれ以前の洪水と台風の被害からの復旧途上にあったが、さらに今週台風10号(アジア名:ハイシェン、Haishen)に見舞われた。

 国営の朝鮮中央通信(KCNA)によると、台風9号の影響を受けた地域では、住宅2000戸超のほか、公共建物数十棟が「損壊または浸水」した。また、道路区間60キロと橋59本が崩壊したほか、鉄道線路3500メートル超が「洗い流された」という。

 北朝鮮ではインフラ老朽化のために自然災害による甚大な被害が生じやすく、山岳部の多くで長年伐採が進められてきたことから洪水被害に対しても脆弱(ぜいじゃく)な状態にある。

 KCNAによると、金氏は朝鮮労働党の幹部委員に対し、今回の被害を受けて当局は「進行中の年末業務を総合的に見直し、取り組みの方針を変更」せざるを得なくなったと伝えたという。

 詳細は報じられていない。

 韓国の首都ソウルにある梨花女子大学(Ewha Womans University)のレイフエリック・イーズリー(Leif-Eric Easley)准教授は、台風の被害は局地的であったが、北朝鮮の国家としての能力と資源が試されていると指摘。「金氏が約束した復興を果たせないことによる政治的リスクは限定的かもしれないが、経済的失敗の積み重ねは、金氏の政治体制を圧迫するだろう」と述べた。(c)AFP