■「勝者の手法」と確信するトランプ陣営

 ポートランドのダニエルソンさん殺害事件の直後、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)は、政治広告に関する規制を発表した。ザッカーバーグ氏は、郵便投票に関する誤情報が流布していることや、投票用紙の集計遅延が懸念されることなどに言及し、2020年の大統領選が通常とは異なる選挙であることを示唆した。

 トランプ陣営は自分たちの手法こそが勝者のものだと確信していると、ジョージ・ワシントン大のポーター氏はいう。「ある意味、トランプ陣営は自分たちの手法をうのみにしているように見える。そのソーシャルメディアの使用法と戦略が、2016年の勝利を導いたと信じている」

 ポーター氏は、誤情報に関する事実検証が機能している点を強調した上で「トランプ氏が勝たない、というわけではない。もしもトランプ氏が勝つ場合、それ(ソーシャルメディア戦略)が強力な、つまり成功をもたらす要因の一つになるということが、私には想像できないというだけだ」と述べた。

 2008年の米大統領選の前、共和党全国委員会のオンライン選挙活動を担当したサイラス・クロン(Cyrus Krohn)氏は、今年の大統領選は「厳しくなる」と見通しており、「それはインターネットがつくり出す懸念材料に起因すると考えられる」という。一方、改変メディアはトランプ陣営寄りに有利に働いているとクロン氏はみる。

 さらにクロン氏によると、バイデン陣営の方はそれほど「あからさま」ではないものの「陣営内の左派には、トランプ陣営の公式な選挙運動と同じ戦術を展開してバイデン氏の当選を望む派閥が存在している」と指摘した。(c)AFP/Ian Timberlake, Arthur MacMillan