【9月7日 CNS】中国国家統計局、科学技術省、財政省が共同発表した「2019年全国科学技術経費投入統計公報」によると、2019年の全国の研究開発(R&D)経費は初めて2兆元(31兆1000億円)を超えた。このうち、基礎研究経費は初めて全体の6%に達し、国家財政科学技術支出も初めて1兆元(15兆5500億円)を超えた。

 全国のR&D経費は前年比12.5%増の2兆2143億6000万元(約34兆4346億円)。前年より2465億7000万元(約3兆8343億円)増加し、2兆元台に突入した。R&D経費の対国内総生産(GDP)比は2.23%で、前年より0.09ポイント上昇した。

 国家統計局社会科技・文化産業局の鄧永旭(Deng Yongxu)首席統計官は「R&D経費は4年連続で二桁の成長率を遂げ、対GDP比も過去最高を記録した」と説明。中国のR&D経費は2013年から世界2位をキープし、トップの米国との差も縮めつつある。対GDP比も欧州連合(EU)加盟国の平均に近づいている。

 R&D経費のうち基礎研究経費は前年比22.5%増の1335.6億元(約2兆769億円)で、R&D経費の6.03%を占めた。基礎研究経費が占める割合は年々上昇し続け、初めて6%台となった。

 企業のR&D経費は安定して成長しており、前年比11.1%増の1兆6921億8000万元(約26兆3144億円)に達し、R&D経費の76.4%を占めた。R&D経費の成長率を地域別で見ると、東部は10.8%増、中部は17.7%増、西部は14.8%増。中部・西部の成長率が高く、経済発展が進む東部に追いつこうとしている。

 また、国家財政科学技術支出は前年より1199.2億元(約1兆8648億円)多く、12.6%増の1兆717億4000万元(約16兆6662億円)となり、初の1兆元台に。技術革新を押し上げる政策環境が継続的に向上していることを示した。

 鄧氏は一方で「中国のR&D経費の対GDP比2.23%は、米国の2.83%、日本の3.26%と比べるとまだまだ低い。基礎研究経費の割合も初めて6%を超えたが、15%以上を占める先進国の水準と比べると依然として差は大きい」と課題を指摘。「R&D経費は大きいが品質は落ちるという現状も改善する必要がある」と強調した。(c)CNS—中新経緯/JCM/AFPBB News