【9月4日 AFP】不治の病に侵されたフランス人男性が4日、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領に安楽死を求めたものの認められなかったとして、飲食や服薬を自発的にやめ、自ら死にゆく様子をソーシャルメディアで生配信すると発表した。

 アラン・コック(Alain Cocq)さん(57)は、動脈壁が癒着するまれな病気を患っている。余命は1週間にも満たないとするコックさんは、5日朝からフェイスブック(Facebook)で自らの死を生配信する考えを示している。

 フランスでは終末期にある患者が自らの意思で安楽死することは認められていない。コックさんは今回の行動によって、この現状への関心を高めたいと考えている。

 先にコックさんはマクロン大統領に書簡を送り、薬物投与による安楽死を認めてもらいたいと訴えていた。これに対し大統領は、フランス法では禁じられていると返信。

 コックさんがフェイスブックの自らのアカウントに投稿した書簡でマクロン氏は「私は法を超越する存在ではない以上、あなたの求めに応じることはできない」と書いている。

 さらに「私は誰に対しても、現行の法制度を逸脱する行為を促すことはできない」「死の積極的ほう助を得たいというあなたの望みは、現時点ではわが国では認められていない」と説明した。

 その一方で、「ただ心では、あなたの行為を尊重する」としたマクロン氏は、「私の個人としての支援と深い敬愛を込めて」と直筆で書き添えた。

 大統領府はAFPに対し、マクロン氏は障害者の権利向上に向けたコックさんの尽力をたたえたい意向だと述べた。

 フランスでは、「死ぬ権利」が以前から激しい議論を呼んでいる。2008年に交通事故で植物状態となり、昨年医師らが生命維持装置を取り外して亡くなったバンサン・ランベール(Vincent Lambert)さんの問題は、国内の世論を二分した。(c)AFP/ Loic VENNIN