【9月4日 AFP】フランスは3日、米国が国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官らを制裁対象に指定したことについて、米政府によるICCへの「深刻な攻撃」が始まったと非難した。

 ICCはジェノサイド(大量虐殺)や戦争犯罪、人道に対する罪などを裁くため、多国間条約に基づいて設置された独立の常設裁判所。ただ、その創設から一貫して米国はICCの権限を認めてはいない。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の就任以来さまざまな問題で対立している米国と欧州だが、ICCをめぐっても分断が生じており、フランスが批判を先導する形となった。

 ジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)仏外相は3日、「9月2日に発表された措置は、ICCと『ローマ規程(Rome Statute)』締約国に対する深刻な攻撃だ。それ以上に、多国間主義と司法の独立への挑戦でもある」と述べた。

 1998年に120か国が採択したローマ規程は、4年後のICC設置の基盤となっている。西欧の米同盟国が締約した一方、米国は締約せず、ロシア、中国、イスラエルなどと共にICCの権限を認めない少数派となった。

 ルドリアン氏の発言に先立ち、欧州連合(EU)は米国の制裁について、ICCを弱体化させようとする「あらゆる試み」に対して「EUは断固として対抗し」ICCを守ると表明している。(c)AFP/Valérie LEROUX and Adam PLOWRIGHT