【9月4日 AFP】パキスタンで、新型コロナウイルスの感染が確認されてから6か月が経過した。ここ数週間は感染者数が激減しており、最悪の事態は回避できたようだ。人口過密な都市部での感染拡大や、ボロボロの病院が対応できなくなることを恐れていた専門家らは今、感染者数の減少理由が分からず困惑している。

 パキスタンでは当初、感染者数が急増したが、現在は減少傾向にあり、死者数も1桁の日が多い。累計の死者数は約6300人、感染者数は29万5000人以上だが、現在1日当たりの新規感染者数は数百人にとどまっている。一方、隣国インドでは、1日当たり数百人が死亡している。

 パキスタン歴代政府は長年、医療分野への資金投入を行わず、ポリオ、結核、肝炎など多くの感染症の食い止めに失敗してきた。

 また、パキスタンでは多くの人が、数世代で同居し、ひしめき合って暮らしている。

 東部ラホール(Lahore)の病院に勤務するサルマン・ハシーブ(Salman Haseeb)医師は、「この減少傾向を誰も説明できない…誰も具体的な説明が思い浮かばない」と話した。

 感染の大流行を回避できた理由について、人口が若いこと、高湿度・高気温の気候、根拠のない自然免疫など、さまざまな仮説が飛び交っている。

 新型コロナは、高齢者や基礎疾患のある人が感染すると重症化するリスクが高いことが分かっているが、パキスタンの平均年齢はわずか22歳だ。一方、イタリアの平均年齢は46.5歳で、これまでの死者数は3万5000人を超えている。

 2月に初めて感染が確認されて以来、政府は緩やかなロックダウン(都市封鎖)など制限措置を実施してきた。だが、市民はソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)のガイドラインを守らず、市場やモスク(イスラム礼拝所)に集まっていた。

 当局は、先月に感染者数が数週間連続で減少したことを受け、新型コロナに伴うほとんどの規制を解除した。

 レストランや公園が再開し、人々は映画館やショッピングモールに集まり、公共の交通機関にひしめき合って乗っている。学校や大学も9月末には再開予定だ。マスクを着用している人も、ほとんど見かけなくなった。 (c)AFP/Kaneez Fatima, with Zain Zaman Janjua in Islamabad