【9月2日 AFP】(更新)タイのマハ・ワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王(67)が、昨年「不実」だとして「配偶者」の称号を剥奪していたシニーナート・ウォンワチラーパック(Sineenat Wongvajirapakdi)さん(34)に、同じ称号を再び授与したことが分かった。

 シニーナートさんは昨年、配偶者となってからわずか3か月後にあらゆる軍の階級と称号を剥奪された。国営テレビは、シニーナートさんの「不実」とスティダー王妃(Queen Suthida)と同様の地位を求める「野心」がその理由だと報じていた。

 シニーナートさんは昨年10月以降、公の場に姿を見せていなかった。

 タイの官報「王国政府公報(Royal Gazette)」は、「シニーナート・ウォンワチラーパックさんの名誉は汚されていない」とするワチラロンコン国王の決定を発表するとともに、シニーナートさんに「高貴な配偶者」を意味する「チャオクンプラ」の称号が再び授与されることを明らかにした。

「以後、シニーナートさんの軍の階級や王室の勲章の剥奪はなかったものとみなされる」としている。この決定は8月29日付とされているが、2日になって初めて公表された。

 ワチラロンコン国王は昨年7月、スティダー王妃との結婚からわずか数か月後の自身の誕生日に、シニーナートさんに配偶者の称号を授与。

 シニーナートさんは、王室護衛官や陸軍看護師の経歴を持ち、パイロットの資格も有する。約100年ぶりに「チャオクンプラ」の称号を受けた女性となった。

 ワチラロンコン国王は2016年に即位して以降、600億ドル(約6兆円)規模とされる王室の資産を個人管理している他、陸軍の2部隊を自身の直轄下に移動させている。

 タイでは現在、秘密主義の王制への透明性と改革を求める前例のない民主派デモが起きている。

 7月中旬以降は連日、抗議集会が開かれ、参加者が2万人に上ったこともある。人々は軍寄りの政権に怒りを募らせ、王室の役割に関する自由な議論を求めている。(c)AFP