【9月1日 AFP】米国各地で人種差別に抗議するデモが激化し、複数の死者を出す事態になっていることを受け、民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領候補(77)は8月31日、「無法状態」と暴力を終わらせるよう呼び掛けるとともに、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の「有害な」言動が騒乱をあおっていると非難した。

 米国のデモでは、特にウィスコンシン州ケノーシャ(Kenosha)とオレゴン州ポートランド(Portland)の2都市で激しい暴動が起き、ここ1週間で3人の死者が出ている。

 バイデン氏はペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)での演説で、「略奪は抗議でない。放火は抗議でない。これはどれも抗議ではない。全くの無法状態であり、これを行う人は訴追されるべきだ」と述べた。

 バイデン氏は「現大統領は皆さんが恐怖の中で暮らすことを望んでいる」と指摘。「秩序の人物をうたっているが、そうではない。彼はこれまで、解決策の一部になってこなかった。彼は問題の一部だ」とし、「ドナルド・トランプは4年間にわたりこの国で有害な存在となってきた」と言明した。

 バイデン氏は痛烈なトランプ氏批判を展開した一方で、各地で続く暴力行為をこれまでで最も強い語調で非難。公民権運動と非暴力的抵抗の象徴である故マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師と故ジョン・ルイス(John Lewis)下院議員の名前を挙げ、暴力は「あらゆる面で事態を悪化させる、良くすることはない。(中略)これは終わらなければならない」と述べた。

 バイデン氏はまた、「法と秩序」の指導者を自称するトランプ氏に強く反発。暴力事件の件数は自身が8年間にわたり副大統領を務めたバラク・オバマ(Barack Obama)政権下で15%減少した一方で、トランプ政権下の2017年以降には殺人件数が26%増加したと指摘。「皆さんはドナルド・トランプの下でより大きな身の安全を本当に感じているか」と訴えた。(c)AFP