【8月29日 AFP】ロシア反ドーピング機関(RUSADA)のユーリ・ガヌス(Yury Ganus)事務局長が28日、解任された。同氏はこれまで、同国スポーツ界の上層部は大規模な薬物使用との闘いに失敗したと批判するなど、率直な物言いで知られてきた。

 56歳のガヌス氏は、7月にロシア五輪委員会(ROC)が不正経理の疑いを示すRUSADAの会計報告書を公表したことを受けて、その役職から引きずり下ろされた形となった。今月5日には、RUSADAの監査委員会が、ロシアの五輪・パラリンピック委員会に同氏の解任を勧告していた。

 ROCのスタニスラフ・ポズドニャコフ(Stanislav Pozdnyakov)会長は、ガヌス氏の解任は「全会一致」で決まったと、記者会見で明らかにした。また、同氏排除の決定は、RUSADAの監査委員会から提示された主張を「慎重に検討した」結果であると説明した。

 世界反ドーピング機関(WADA)は今回の決定に懸念を示し、RUSADAの独立性には引き続き疑問があると指摘。米国反ドーピング機関(USADA)も、ロシア側は世界ドーピング防止規程(WADA Code)に違反していると非難し、WADAに対して断固とした行動を取るように強く促した。

 ガヌス氏が2017年にRUSADAのトップに任命されたことは、同国のイメージアップにつながるとみられていた。同氏はロシアスポーツ界のリーダーシップを批判し、同国のアスリートが国際大会への出場を禁止されたことについても、ロシア側が不正行為を認識して本質的な改革に取り組まなかったとして、妥当な処分であるとの認識を示していた。

 今回の動きを完全に予測していたガヌス氏は、AFPの取材に対して、RUSADAがロシアと国際競技団体との間に「信頼感を取り戻す懸け橋となっていた」ことから、自分が排除されたことは同国スポーツ界の損害になるだろうと述べた。

 後任については、6か月以内に開かれる選挙で決まることになっている。(c)AFP