【6月26日 AFP】米ホワイトハウスの麻薬管理政策局(ONDCP)は、世界反ドーピング機関(WADA)が組織のガバナンス改革を実行しなければ、同機関への資金提供を停止するように連邦議会に勧告する調査結果をまとめた。

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 19ページに及ぶ報告書の中でONDCPは、ロシアのドーピング問題をめぐるWADAの対応を批判し、同国にしっかりと違反行為の責任を問わなかったと主張。「米国のアスリートと世界のクリーンなアスリートは、われわれによる緊急介入を必要としており、彼らにはその権利がある。そうすることで、WADAが利害の対立から自由になり、クリーンなアスリートをより効果的に保護し、組織的ドーピングに対抗する力を持てるようにする」と締めくくった。

 これに対してWADAは強い言葉で反発するコメント文を発表し、調査結果には「いくつもの間違いや誤解、そして虚偽がある」とすると、「この報告書には事実や事情への配慮がなく、WADAの信用をおとしめる明らかな意図があり、非常に残念だ」と主張した。

 ONDCPの報告書は、WADAはガバナンスを改革し、内部委員会や意思決定部門に独立の立場にいるアスリートや反ドーピングの代表者を加えるべきだと提言。また、WADAの上層部が「WADAが下す決定に直接の経済的利害関係を有するスポーツ団体の影響を受けない」ようにすることも要求した。

「これを実行可能にするのは、現存のガバナンスや方針決定に関わる競技団体の代表人数、あるいはWADAの内部委員会や意思決定部門にいる競技団体の重役を減らすことである」

 米国反ドーピング機関(USADA)はずっと以前からWADAのガバナンス構造を批判しており、各スポーツ連盟の関係者や国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーが機関内で権力を振るっている中で、組織として独立した運営ができるのか疑問視していた。

「数日中に」連邦議会に提出されることになっているONDCPの報告書に関して、WADAは反論文をまとめていると付け加えた。(c)AFP