■壇上で乱入者からバイデン氏を守る

 1951年生まれのジル夫人は、ペンシルベニア州南東部で生まれ育った。教師になり、後に教育学の博士号を取得している。

 党大会でジル夫人は、夫は大統領にふさわしいと個人的な言葉で訴えながら、子どもの学校再開を不安視したり、家族を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で失ったりした人々への共感を示した。

「私は母親として、祖母として、米国人として、自分たちの社会を守れなかったことによる現在の大きな損失に心を痛めている」と、トランプ氏の名は出さずにこう語った。

「多くの皆さんと同じように、私は自問しています。家族の安全をどのように守れるのかと」

 3月には、14州の予備選が集中した「スーパーチューズデー(Super Tuesday)」の勝利を祝う会で壇上の夫に突進した2人の活動家を劇的な形で追い払い、図らずも、夫を守る役割を果たし、「私たちは大丈夫です」と人々を安心させるように言った。

 2009年にバイデン氏が副大統領に就任すると、セカンドレディーになったジル夫人は、ファーストレディー(当時)のミシェル・オバマ(Michelle Obama)夫人と共に多くの重要なイベントに出席するうちに、人を元気づけるスピーチのスタイルを身に付けていった。