【8月26日 AFP】2020年米大統領選挙戦をめぐり、有権者らの間で「誤情報」に対する懸念が広がっている。共和党が24日に開催した党大会初日でも不正確な情報が散見された。

 AFPで確認することができた複数の案件を検証する。

■新型コロナウイルスへの対応

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権によるパンデミック(世界的な大流行)への対応をめぐっては、国民の健康リスクを顧みず経済活動を優先したことで遅れが生じ、結果的に米国の展望に陰りが生じたとする批判の声が一部から挙がっている。

 そうした批判の声は、トランプ氏がウイルス抑制に向けて早く行動しなかったために、米国での感染件数が増えたと指摘する。だが、共和党大会で提示されたのは、実際に取られた措置は人命救助であって、人命喪失ではなかったという見方だ。

 トランプ選挙陣営諮問委員のナタリー・ハープ(Natalie Harp)氏は、トランプ氏による「中国渡航禁止がなければ、数百万人が死亡しただろう」と述べ、また長男のドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr)氏も、トランプ大統領が1月に「素早く行動し、中国からの渡航を閉鎖した」ことを指摘した。

 だがトランプ氏が実施するとしたのは禁止ではなく複数の例外を伴う制限で、その開始時期も2月2日からだった。禁止の対象となったのは、過去14日間以内に中国に滞在していた外国籍の個人だけで、同期間に湖北(Hubei)省に滞在していた米国民は米帰国時に強制隔離の対象となった。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の分析によると、トランプ氏が規制を課してから最初の2か月間に中国から米国に入国した米国民、その他の許可された旅行者は、約4万人に上るという。

 また、数百万人の人命が救われたという根拠が示されなかっただけでなく、共和党大会の初日に米国のコロナの犠牲者数について触れられることは一度もなかった。