■不正選挙

 共和党の候補に正式に指名されたトランプ氏は同日、郵便投票は不正選挙を招くという裏付けのない主張を繰り返した。同氏は以前、もし民主党の大統領候補であるジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に敗北するとしたら、それは選挙で「不正操作」が行われた場合だけと述べていた。

 専門家らは、この主張を事実ではないと指摘する。ニューヨーク大学のブレナン司法センター(Brennan Center for Justice)による2017年の調査によると、米選挙ではなりすましはめったに起こらず、その発生率は0.0003%~0.0025%だという。こうしたトランプ氏の言動については、有権者を惑わすための戦術で、何もしなければ民主党に投票するであろう人々の選挙への関心をそぐ目的があると批判されている。

 郵便投票の以前からの利用者は、米軍人や高齢者だ。だがフロリダ州が公式の居住地であるトランプ氏や同氏の家族、そして政権関係者も今年はこれを必要としている。新型コロナウイルスの流行により、投票所に足を運ぶことを避ける有権者が想像以上に増えることは十分に考えられる。

■「米国史上最高の経済」

 ドナルド・トランプ・ジュニア氏を含む数人の登壇者は、米国の低い失業率に盛んに触れた。しかし、この発言も正確とは言い難い。引用されているのは3.5%という数字だが、これは昨年9月に到達した数字であって、新型コロナウイルスによる経済破壊後ではもう現状からはかけ離れてしまっている。それ以降、米国市民数千万人が失業給付を申請しているのだ。

 またドナルド・トランプ・ジュニア氏は自身の父親を「米国史上最高の経済を築き上げた」と語ったが、これも正しい情報ではない。

 国内総生産(GDP)による成長率では過去の記録には及んでいないのだ。トランプ政権下での最良の年は2018年の年率3%の伸びであり、これに比べてバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領政権下では2015年に3.1%を記録している。2004年と2005年には、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)元大統領政権下で、それぞれ3.8%と3.5%の成長を達成していた。(c)AFP/Arthur MACMILLAN