【8月25日 AFP】ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏(44)が意識不明の重体となった問題で、移送先のドイツの病院は24日、検査の結果、同氏が毒物を摂取したことが示されたと発表した。同氏が当初入院していたロシアの病院での検査では、毒物は検出されなかったと発表されていた。

 汚職撲滅を掲げる弁護士でロシア政府批判の急先鋒(せんぽう)に立つナワリヌイ氏は先週、シベリア(Siberia)で搭乗した飛行機の機内で体調が急変。22日にドイツの首都ベルリンへ移送された。ロシアで同氏の治療に当たった医師団は、代謝異常が原因だと述べていた。

 転院先のシャリテ大学病院(Charite University Hospital)は24日、ツイッター(Twitter)で、「コリンエステラーゼ阻害薬に分類される薬物による中毒が臨床検査により示されている」と発表した。コリンエステラーゼは中枢神経系が正常に機能するために必要な酵素。

 同病院は「アレクセイ・ナワリヌイ氏の回復見通しは依然として不透明だ。長期的な影響、特に神経系に与える影響の可能性は排除できない」と説明した。

 ナワリヌイ氏の支持者らは、同氏が離陸前に空港で飲んだ紅茶に毒が盛られていたと主張。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の関与を疑っている。

 今回の検査結果を受け、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相はハイコ・マース(Heiko Maas)外相との共同声明で「ロシアの反政権活動におけるナワリヌイ氏の大きな役割に鑑み、ロシア当局はこの行為を徹底的に、完全な透明性をもって調査することが緊急に求められている」と明言。「責任を負う者は特定され、責任を追及されなければならない」と述べた。(c)AFP