【8月22日 AFP】(更新、写真追加)ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏(44)が毒を盛られたとみられる問題で、同氏を乗せた救急輸送機が22日、ドイツの首都ベルリンに空港に着陸した。同氏の容体は安定しているという。輸送機を手配した独NGOシネマ・フォー・ピース財団(Cinema for Peace Foundation)がAFPに対して明らかにした。

 同機は22日午前8時47分(日本時間同日午後3時47分)、テーゲル(Tegel)空港に着陸。その後、同NGOの創設者ヤカ・ビジル(Jaka Bizilj)代表がAFPの取材に応じ、「ナワリヌイ氏の容体は安定している」と話した。

 ナワリヌイ氏の広報担当者であるキラ・ヤルミシュ(Kira Yarmysh)氏も到着について確認し、ツイッター(Twitter)に「アレクセイを乗せた飛行機がベルリンに着陸した」と投稿した。

 空港では、治療のために同氏をベルリンのシャリテ大学病院(Charite University Hospital)に搬送するため、救急車両が用意されていた。

 汚職撲滅を掲げる弁護士で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領批判の急先鋒(せんぽう)として知られるナワリヌイ氏は20日、移動中に飛行機の機内で意識不明に陥り、飛行機が緊急着陸。シベリア(Siberia)にあるオムスク(Omsk)の病院に搬送された。

 同氏の側近らは、空港で飲んだ紅茶の中に毒を盛られたとみられると話し、プーチン大統領を批判しているものの、ロシアの医師団は検査の結果、毒物の痕跡はなかったとしている。

 オムスクで治療に当たった医師らは、ナワリヌイ氏の出国を拒否していたものの、同氏の家族やスタッフがドイツへの渡航を認めるよう要求したところ、方針が変更されたという。

 輸送機がオムスクを22日午前8時(日本時間同11時)ごろに離陸すると、ナワリヌイ氏の妻ユリア・ナワルナヤ(Yulia Navalnaya)さんは、覆いが掛けられた担架に乗せられて運ばれるナワリヌイ氏の写真をインスタグラム(Instagram)に投稿。「皆さんの支持がなければ、私たちは彼を連れて行くことができなかった!」と述べた。

 ロシアの医師らは、ナワリヌイ氏が意識不明の重体で、人工呼吸器を使用していると述べていた。(c)AFP/Femke COLBORNE