【8月18日 AFP】米司法省は17日、中国に米国の機密情報を売り渡したとして、中央情報局(CIA)と連邦捜査局(FBI)で勤務経験がある男を逮捕・訴追したと発表した。漏えいした機密情報には、中国国内の米情報提供者の身元なども含まれていた。

 訴追状によると、アレクサンダー・ユク・チン・マー(Alexander Yuk Ching Ma)容疑者(67)は昨年、中国の情報機関職員を装った米国のおとり捜査官に自身の活動について話したという。

 マー容疑者はおとり捜査官と接触を続け、報酬を受け取り、機密情報を提供していた。しかし今月になり、中国政府のために働き続けることができるのはうれしいが、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)が収束したら話し合いの機会を持ちたい」と述べたという。

 米司法省はマー容疑者を14日に逮捕した。

 マー容疑者は香港出身で、米国の市民権を得ている。厳しい適格性審査を経て、1982年から1989年にかけてCIAに勤務していた。

 マー容疑者には1967年から83年にCIAに勤務していた親族がいる。この親族とマー容疑者は早くて2001年ごろから、中国の国家安全部の諜報(ちょうほう)員に情報提供をしていたという。この親族は85歳と高齢で、重度の認知症を患っているため、氏名は公表されておらず、訴追もされていない。

 米政府機関では、職員が中国に機密情報を提供する例が相次いでいる。

 1994年から2007年までCIA工作員だったジェリー・チャン・シン・リー(Jerry Chun Shing Lee)被告は昨年11月、米国の機密情報を中国の諜報機関に渡した罪で禁錮19年を言い渡された。(c)AFP