【8月13日 AFP】大統領選の不正疑惑に抗議するデモ隊と機動隊との衝突が4夜にわたって続くベラルーシで、拘束されたデモ参加者が刑事施設内で死亡したことが分かった。捜査当局が12日、認めた。

 9日に行われた大統領選ではアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領が圧勝で6選を果たしたが、直後から各地で抗議デモが発生。これまでに約1000人が機動隊に拘束された。

 反ルカシェンコ派は、大統領が有力対立候補だったスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏に対して票の操作を行ったと非難している。

 こうした中、ベラルーシ捜査委員会(Belarusian Investigative Committee)は12日、南東部ゴメリ(Gomel)で違法デモに参加したとして9日に拘束され、禁錮10日を言い渡された男性(25)が死亡したと発表した。死因は不明としている。

 一方、米政府が出資するラジオ局「ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー(RFE/RL)」は、男性には心臓に持病があったとする母親の主張を伝えた。母親の話によると、男性は警察車両に数時間にわたり拘束されていた。また、抗議デモには参加しておらず、恋人に会いに出かけただけだったという。

■「手遅れになる前に辞めなさい」 ノーベル賞作家が大統領に要求

 野党支持者らは、警察の暴力を非難する抗議デモを展開している。首都ミンスクでは12日、数百人の女性が手をつなぎ、人間の鎖をつくった。多くは白い服を着用し、花を手にしていた。

 12日夜のデモは、首都郊外の複数か所で行われた。警察は首都中心部を囲むように厳格な規制線を張り、地下鉄駅は閉鎖された。機動隊はデモ隊に対し、ゴム弾や閃光(せんこう)発音筒を使用。また、現地メディアによると、住宅街をパトロールする機動隊員が車両に発砲したり、アパートのエントランス内に隠れていた人々を引きずり出したりしたという。

 ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)を受賞したベラルーシ人作家スベトラーナ・アレクシエービッチ(Svetlana Alexievich)氏は、RFE/RLとのインタビューで警察の暴力を非難し、「手遅れになる前に、内戦という恐ろしい奈落の底に人々を突き落とす前に、辞めなさい」とルカシェンコ大統領に平和的な辞任を強く求めた。(c)AFP/Tatiana Kalinovskaya