【8月12日 AFP】ベラルーシで、アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領が6選を果たした大統領選挙について、欧州連合(EU)は11日、「自由でも公正でもなかった」との見解を示し、「暴力、不当な逮捕、選挙結果の捏造(ねつぞう)」に関与した者に対し制裁を科す構えを示した。

 大統領選は9日、ルカシェンコ氏の強権統治に抗議する大規模なデモが広がる中で実施されたが、選挙管理委員会は同氏の勝利を発表。一方で対立候補のスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏(37)も自身の勝利を宣言した。

 選挙結果に抗議する人々が行ったデモでは、警察が参加者を強制排除。チハノフスカヤ氏は、息子(10)と娘(5)の安全を考慮し、同国を離れリトアニアに渡った。同氏は短い動画メッセージで、動揺した表情を浮かべながら「とても難しい決断をした」と表明。「子どもは私たちにとって人生で最も大切なもの」と述べた。

 チハノフスカヤ氏が大統領選への出馬を決めたのは、著名ブロガーで夫のセルゲイ・チハノフスキー(Sergei Tikhanovsky)氏が当局に拘束され、出馬を禁じられた後だった。チハノフスキー氏は現在もベラルーシで拘束下に置かれており、子どもたちは安全のため先に出国していた。

 同国国営メディアが公開した別の動画で、チハノフスカヤ氏は支持者に対し、抗議活動や違法行為をやめるよう呼び掛けた。チハノフスカヤ氏はこの際、用意された原稿を読んでいたとみられ、同氏の選挙運動に参加したマリア・コレスニコワ(Maria Kolesnikova)氏は「法執行機関の圧力を受けて撮影されたもの」との見解を示している。(c)AFP