【8月12日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のニューヨーク・ニックス(New York Knicks)などでプレーし、現在は中国プロバスケットボールリーグの北京ダックス(Beijing Ducks)に所属するジェレミー・リン(Jeremy Lin)が、相手の激しいプレーで一時的に耳が聞こえなくなり、病院で治療しなければならなかった試合の後、もっと選手をきちんと守ってほしいと中国バスケットボール協会(CBA)に訴えた。

 ニックスで2012年に「リンサニティー(Linsanity)」と呼ばれる熱狂的な現象をつくり出し、昨年はトロント・ラプターズ(Toronto Raptors)でアジア系米国人初のファイナル制覇も経験したリンは、その後制限なしのフリーエージェント(FA)で北京ダックスに加入。先日、広東サザンタイガース(Guangdong Southern Tigers)とのプレーオフ準決勝に臨んだ。

 すると激しい肉弾戦となったシリーズは、北京ダックスが8日の第3戦に85-88で競り負け、1勝2敗で敗退。ブザービーターを外してコートに崩れ落ち、激しく落胆しているように見えたリンは、痛恨の敗戦を喫した翌日、中国版ツイッター(Twitter)の「ウェイボー(Weibo、微博)」で「きのうは一睡もできなかった」「正直に言って、ああいう負け方は胸が痛い。本当につらい」と700万人のフォロワーに語りかけた。

 そして10日に出演した国営テレビの番組で、リンは足首や膝、首、耳をけがし、耳の問題では2度病院へ通わなければならなかったことを明かした。

「状態はあまり良いとは言えない。知っての通り、どちらのチームにとってもすごく激しい大会だからね」「バスケの試合と殴り合いを同時にやっているようなものだ」

「故意ではなく、相手を殴ったり、傷つけたりしてしまうのは仕方ないが、わざとやったり、審判が守ってくれなかったりというのは(許せない)」「コートをもっと安全な場所にしてほしい。僕に言えるのはそれだけだ。話し合いは皆さんに任せるよ」

 1勝1敗のタイに持ち込んだ第2戦では、チーム最多の25得点を挙げたリンだが、解立彬(Xie Libin)暫定ヘッドコーチ(HC)は、31歳という年齢とけががリンの体をむしばんでいることを認めている。中国メディアが引用したリーグのスタッツによれば、リンは近年のシーズンでも特に多くファウルを受けた選手の一人だった。

 解HCは国営紙の北京青年報(Beijing Youth Daily)で、「彼は毎試合、何度も倒されていた」「ただ、すでに30代で、NBAで何年もプレーしてきたことは考慮しなくてはならない」「鼻や目、さらには耳もけがしている。試合後は全く何も聞こえない状態だった」と話している。(c)AFP