ハリウッド、中国市場目当てに映画を自主検閲 脚本変更やシーンカットも
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【8月6日 AFP】人口14億人を有する中国の巨大市場目当てに、米ハリウッド(Hollywood)は中国政府を満足させようと、映画を自主検閲している。言論の自由の擁護団体「ペン・アメリカ(PEN America)」が5日に公開した最新の報告書で明らかとなった。
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これによると、ハリウッドの脚本家やプロデューサー、監督らは、中国政府の検閲に触れることを恐れ、台本を変えたり、シーンをカットしたり、内容を差し替えたりしているという。
例えば、公開予定の映画『トップガン マーヴェリック(Top Gun: Maverick)』では、主演のトム・クルーズ(Tom Cruise)が着ているボンバージャケットから、台湾の旗が消された。また、2013年の映画『ワールド・ウォー Z(World War Z)』では、ゾンビウイルスの発生源が中国であることを示すシーンはなくなった。
だが、このようなことをしていれば、チベット(Tibet)や台湾、香港の政治、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、LGBTQ(性的少数者)の登場人物の描写といった微妙な問題を完全に避けることになってしまうと、報告書は指摘している。
ペン・アメリカによると、製作者らはブラックリスト入りなどの制裁措置を恐れ、中国市場を対象としていない映画でさえも、中国での公開が予定されている他の映画に影響しないよう検閲している。
報告書は、「ハリウッドで新たな習慣が着実に広がっている。中国政府の投資家や管理者に歩み寄ることは、単純に商売上の手法となっている」「中国共産党は実際、ハリウッド映画が利益を上げるか否かを決める大きな影響力を持っており、製作者の幹部らもそれを知っている」と指摘した。
ハリウッドの人々は「要請されなくても、厳しい制限を自主的に行うようになっている」という。(c)AFP