【10月19日 AFP】アニメ映画『アボミナブル(原題:Abominable)』に登場する南シナ海(South China Sea)の地図に、中国独自の境界線「九段線」が描かれていたことから、領有権を争う東南アジア諸国で反発が起きている。マレーシアの映画検閲委員会は18日、該当箇所のカットを命じた。

『アボミナブル』は、米映画制作大手ドリームワークス(DreamWorks)と中国のパール・スタジオ(Pearl Studio)が共同制作したアニメで、中国人の10代の少女が未確認動物イエティ(Yeti)の帰郷を手助けする物語だ。

 マレーシアでは11月7日に公開予定になっていたが、映画検閲委員会は、上映するには「問題の地図を削除することが条件」との見解を発表した。同国の外相は今週、領海を守るために海軍を強化すべきだと発言しており、今回の決定は、中国に対して強硬姿勢を強める兆候を示唆している。

 既に公開されているベトナムでは、韓国系の大手シネコンCGVが15日に上映中止を発表。フィリピンのテオドロ・ロクシン(Teodoro Locsin)外相は今週、該当箇所をカットすべきだとツイッター(Twitter)で主張した。

 インドネシアでも上映されているが、中国とは南シナ海の領有権をめぐって表立った摩擦は起きていないため、議論にはなっていない。(c)AFP/Patrick Lee