【8月18日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いの第一線で何か月も働いてきたスペイン人看護師のジョネ・アルベリック(Yone Alberich)さん(32)は、休暇を取る気満々だった。だが問題はどのような休暇にするかだった。

 バレンシア(Valencia)州の海岸の町カステリョン(Castellon)に住むアルベリックさんにとって休暇は、たいていは飛行機で海外に行くことを意味していた。だが、コロナの流行が収まっていない今、飛行機に乗りたくはなかった。また、ホテルに滞在したり人混みに出かけたりするのも避けたかった。

 そこでアルベリックさん夫婦は、キャンピングカーを借りることにした。夫婦には小さな子どもが1人いる。

「要は他人から離れて、感染するのを避けたいということでした」とアルベリックさん。「それにコロナを考えれば、背中に家をしょってあちこち旅行するより良いことがあるでしょうか」

 感染拡大を避けるため、欧州全土でソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)が新たな基準となる中、スペインでは休暇についての考えに変化が起きている。最近の調査では、スペイン人の90%が海外旅行に出るより国内にとどまると回答している。また、83%が公共交通機関より自分の車を使いたいという。

 スペインでキャンピングカーの旅専門の旅行会社「Aquiestoy Caravaning」を営むファブリツィオ・ムザッティ(Fabrizio Muzzati)氏は、これまではキャンピングカーの休暇など考えたこともなかった人々が、今はその気になっているという。「世界全体が安全性を強く求めているこのご時勢に、このような状況だからやってみようとする人が大勢いる」

■欧州全土に広がるキャンピングカー熱

 そして、この傾向が見られるのはスペインだけではない。

 欧州キャラバン連盟(ECF)のフランソワ・フイエ(Francois Feuillet)会長は「(規制の)緩和以降、キャンピングカー熱が実際に至る所で起きている」と語る。

 業界の統計によると、欧州全土でキャンピングカーへの興味が増大しており、今日、利用者は500万人、出回っているキャンピングカーは200万台に上るという。

 また、レンタル市場でも需要が急増している。

 キャンピングカーなどの貸し借りを仲介するプラットフォーム「Yescapa」には、欧州全土で6月に3万2500件の予約があった。また、7月と8月の予約希望者は昨年同時期に比べて60%増加したという。