パリのバンクシー作品盗難事件、捜査班をイタリアへ導いたもの
このニュースをシェア
【8月4日 AFP】2015年仏パリ同時襲撃事件の舞台となったバタクラン(Bataclan)劇場の扉に描かれた英覆面アーティスト、バンクシー(Banksy)の作品が、盗まれてから1年半後の今年6月にイタリアで発見された。
盗まれたバタクラン劇場の扉には、バンクシー作品の特徴であるステンシル(型板)の上からスプレーを吹き付けて描く「ステンシルアート」で、襲撃事件の犠牲者を追悼する「悲しむ少女」の絵が描かれていた。
捜査班は、扉の切断に使用したドアカッターの窃盗、監視カメラの映像、電話の盗聴、口の軽い容疑者らが残した手掛かりをたどって、イタリアでの発見に至った。
バンクシー作品が盗まれたのは、2019年1月26日午前4時。頭からフードをかぶり、マスクをした男3人が、鉄製の扉を切断する道具を持ってバタクラン劇場に近づいた。男たちは数分のうちに、シトロエン(Citroen)のワゴン車の後部に扉を入れて持ち去った。現場の監視カメラ映像からは、ナンバープレートを判読できなかった。
だが、事件発生時刻にバタクラン劇場付近に位置していた携帯電話と、監視カメラで追跡した逃走車のルート上を移動する電話を追うことで、警察は電話を特定し、盗聴に成功。
1年後、警察はフランス南東部イゼール(Isere)県のホームセンターに不法侵入した疑いで、容疑者の男3人を拘束した。このホームセンターから盗まれた商品の中に、バタクラン劇場の扉を切断した道具が含まれていた。また容疑者の1人はパリで、イゼールでの不法侵入の件について周囲に自慢していた。
容疑者らとバンクシーの「悲しむ少女」の盗難事件がつながったことを受け、警察はさらに盗聴と監視カメラを駆使して盗まれた絵が渡った相手を追跡した。その結果、絵はまずイゼールに運ばれた後、フランス南部で中継されて、イタリアへ渡っていた。