世界の子ども3人に1人が鉛中毒 国連が警鐘
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【7月31日 AFP】世界中で最大8億人の子どもが、水質・大気汚染が原因で鉛中毒になっていると警告する特別報告書を30日、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が発表した。報告書は、鉛中毒は「これまで知られていなかった甚大な」規模で子どもに影響を及ぼしていると指摘している。
報告書によると、世界の子ども3人に1人が、強力な神経毒の鉛の血中濃度が、長期的な損傷を防ぐための緊急の処置を必要とするレベルにあると推定されるという。
ユニセフのヘンリエッタ・フォア(Henrietta Fore)事務局長は「初期症状がほとんどないため、鉛は子どもの健康と発達にひそかに打撃を与え、致命的な結果を招く可能性がある」と述べている。
子どもの頃に鉛にさらされることは、以後の人生でのさまざまな行動障害、腎臓損傷や心血管疾患などとの関連性が指摘されている。
鉛中毒は圧倒的多数が南アジアで起きている。鉛汚染は、囲いのない炉、塗料、ガソリンなどを含むさまざまな発生源がある。多くの国で使用されている鉛配管でも、飲料水の供給で危険なレベルの鉛が生じる。
■「危険性の周知で子どもを守れる」
今回の報告書によると、鉛の主要な発生源は、リサイクルされず、廃棄処理が適切でない自動車用バッテリーだという。子どもの鉛中毒が最も多くみられる国々では2000年以降、路上の車両数が倍増している。
富裕国の子どもはここ数年の間に血中鉛濃度が低下している一方、貧困国では鉛中毒の問題が大幅に拡大していることも明らかになった。
報告書を共同執筆した反公害NGO「ピュア・アース(Pure Earth)」代表のリチャード・フラー(Richard Fuller)氏は「良い知らせは、鉛のリサイクルについては作業者とその子どもと近隣周辺が鉛に暴露されることなく安全に実行できることだ」と話す。
「鉛の危険性を人々に周知し、自身と自分の子どもたちを守れるようにすることが可能だ」 (c)AFP/Patrick GALEY