【8月1日 東方新報】中国初の火星探査機「天問1号(Tinwen-1)」が7月23日打ち上げられ、火星探査ミッションがスタートした。この時期は地球と火星の距離が最も近い5500万キロに近づく。アラブ首長国連邦(UAE)は7月20日、火星探査機「ホープ(Hope)」を鹿児島県の種子島宇宙センター(Tanegashima Space Center)から打ち上げており、米国も30日に火星探査車「パーシビアランス(Perseverance 、「忍耐」「不屈」の意味)」を打ち上げた。

 特筆すべきは、「天問1号」が今回の打ち上げで火星の「周回」「着陸」「探査」を一度に行い、火星の科学データを採取しようとしていることだ。先行して火星探査を行ってきた米国、旧ソ連、日本、欧州宇宙機関(ESA)、インドなどは、それぞれステップを分けて計画を進めてきた。

 中国の宇宙計画もこれまでの数十年間は「小刻みに急いで走る」理念に基づき、各ミッションは一つずつステップをクリアすることを目的とし、複数のミッションを組み合わせて技術的なブレークスルーを獲得してきた。近年は、「嫦娥(Chang'e)計画」に基づく月探査機の月面着陸、有人宇宙飛行、中国版衛星利用測位システム「北斗(Beidou)」の完成という一連のプロジェクトによる技術蓄積に基づき、「天問1号」は一気に周遊、着陸、探査を実現しようとしている。

「天問1号」は火星の磁場と土壌を探測するため、ESA、フランス国立宇宙研究センター、オーストリア研究促進庁から提供された観測装置など多数の機器を搭載している。遠く離れた宇宙と地球を結ぶ「深宇宙通信技術」はアルゼンチンの支援を受けている。「天問1号」のミッション自体が国際協力のモデルであり、ミッションが成功すれば、人類の火星探査事業にとって飛躍的な前進となる。

 人類にとって火星探査の真の目的は、宇宙や太陽系の起源、地球上の生命の起源を探索し、地球が生命の存在する唯一の惑星なのか、地球の行く末はどうなるのかという問題に答えを探すことだ。自分たちが生きているこの宇宙について人類がよく理解し、宇宙観を見つめ直すことは、地球がいま抱える問題を解決することにもつながるだろう。

 どの国であろうと、火星探査は人類を代表したプロジェクトだ。これまでは米国、旧ソ連、日本、ESAなどに限定されていたが、グローバル化の進展と発展途上国の台頭に伴い、インド、中国、UAEなども「火星探査クラブ」に参加し、人類共通の偉大な宇宙探査事業に貢献しようとしている。(c)東方新報/AFPBB News