【6月25日 東方新報】中国四川省(Sichuan)の衛星発射センターから23日、中国版全地球測位システム「北斗3号」で最後となる55基目の衛星が打ち上げられ、北斗の衛星測位システムが完成した。衛星測位システムはスマートフォンや車両の位置情報から防衛面まで多方面で欠かせない。米国に依存しない「宇宙のインフラ網」を構築することで、国内のニーズを満たすだけでなく、中国の国際的影響力の拡大につながることが予想される。

 1994年の「北斗1号」打ち上げから26年。衛星測位システムは中国国内向けのサービスから始まり、アジア・太平洋、そして世界全域という「三つのステップ」戦略を通じて利用域を拡大し、米国のGPS、ロシアのグロナス、欧州連合(EU)のガリレオと共に、世界4大衛星測位システムの一角に加わった。

 北斗システムは中国の経済発展と安全保障の視点から衛星上の部品はすべて国産で造られ、独自の知的財産権を持っている。そのシステムは国際基準を満たしており、多国間協力事業に積極的に参加。GPS、ログナス、ガリレオとの相互接続サービスを促進するための協力メカニズムも確立してきた。

 また、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国やパキスタンなどをはじめ、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」参加国も北斗システムを活発に利用している。今や世界の半数以上の国々が北斗システムの利用を始め、1日の最大観測数で北斗がGPSを上回る国も増えている。観測数が多いほどデータの精度は高くなるため、世界各国の経済成長や社会発展、災害救援などに貢献していくことが期待されている。

 世界経済が新型コロナウイルスの脅威にさらされている中、北斗は第5世代移動通信システム(5G)や人工知能(AI)などのテクノロジーと統合することで、世界の経済、産業を大きく変革する力を持っている。衛星測位システムはスマートフォンや自動車、航空機、船舶の位置確認などをはじめ、自動運転の推進、ゲーム産業や電子商取引産業の発展、スマートシティーの建設、モノのインターネット(IoT)の加速化など、すべての産業チェーンに恩恵をもたらす。統計によると、北斗システムを活用した産業規模は2019年で3500億元(約5兆2900億円)を超え、今後も約20%の成長を維持すると見込まれている。北斗システムは宇宙空間から、世界経済の発展と国際社会の結合を進めていく。(c)東方新報/AFPBB News