【7月22日 AFP】英議会の情報安全保障委員会(ISC)は21日、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)を決めた2016年の国民投票にロシアが介入した疑惑に関する報告書を公表し、現在のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)政権を含む歴代の英政府がロシアの介入について調査してこなかったと非難した。

 報告書はロシアの介入疑惑を解明するものだと期待されていた。しかし委員らは、関心の低さから歴代の英政府が調査を一切命じなかったため、確実な結論に至ることができなかったという。

 また、ロシアが「確固たる脅威」であったにもかかわらず、深刻に捉えられていなかったことに「衝撃を受け」、「当惑している」と委員らは不満を示している。

 報告書によると、スコットランド独立の是非を問う2014年の住民投票にもロシアが介入しようとしていたとの確かな情報があり、英国はロシアにとって「西側最大の諜報(ちょうほう)対象」の一つだという。

 さらに、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に近い裕福なエリートたちの影響は英企業や社会の上層に及んでおり、その状況が「新常態」となっていたという。

 報告書は当初の予定から1年3か月遅れで公表された。これについて一部からは、与党・保守党にロシア人富豪から政治資金の提供があったことが発覚する恐れがあり、ジョンソン首相が公表を渋ったのではないかといぶかる声も上がっている。

 ISCは2017年11月、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利した2016年の米大統領選にロシアが介入していたという疑惑が浮上したことを受け、調査を開始した。(c)AFP/Phil HAZLEWOOD