【7月13日 AFP】西アフリカのマリで、イブラヒム・ブバカル・ケイタ(Ibrahim Boubacar Keita)大統領(75)の辞任を要求する大規模デモが近年最悪の暴動に発展し、複数の死者が出ている。緊張の高まりを受け、抗議デモの指導者らは12日、冷静になるようデモ参加者らに呼び掛けた。

 イスラム過激派との長引く闘いや経済的苦境、政府の汚職発覚などに抗議し、2013年から大統領を務めるケイタ氏の辞任を求めるデモは10日、首都バマコや複数の都市で行われたが暴動に発展。少なくとも3人が死亡、救急当局によると70人が負傷した。

 バマコでは翌11日にもデモが行われ、新たな衝突が発生。匿名でAFPの取材に応じた病院関係者によると、11日から12日未明にかけて15歳と17歳を含む民間人4人が死亡した。

 一方、市内大手病院の救急担当者は、10日以降の累計死者数は7人ではなく、11人だとAFPに語った。

 治安部隊がデモ隊と衝突した際、実弾を発射したとの目撃証言がある。

 バマコ市内では12日も緊張状態が続き、デモ参加中に死亡した4人の葬儀には数百人が集まった。

 ケイタ氏は高まる緊張を受け、憲法裁判所の解体を発表した。マリでは長く延期されていた議会選挙が3月にようやく実施されたが、憲法裁判所が第1回投票で当選した30議席を無効化し、そのうち複数の議席をケイタ氏の所属政党の候補者が獲得。これが市民の怒りに火をつけ、複数の宗教指導者や政治家、社会運動家が連合してケイタ氏への圧力を強めていた。

 政府は、国中に広がる根深い失望の中で支持を広げる野党連合「6月5日運動(June 5 Movement)」の摘発に乗り出し、ここ数日で野党政治家ら6人を拘束した。うち1人は11日夜に釈放されたが、弁護士によると、10日以降に逮捕された野党関係者は20人前後に上るという。(c)AFP/Serge Daniel and Amaury Hauchard