【7月6日 AFP】中印両軍の兵士が先月、乱闘を繰り広げて死者が出る事態となったヒマラヤ(Himalaya)地域の係争地で、両国間のハイレベル協議の後、中国軍の部隊がテントなどを撤去し始めたことが分かった。インド軍の情報筋が6日、明らかにした。

 6月15日に印ラダック(Ladakh)地方ガルワン(Galwan)渓谷で発生した衝突では、両軍の間でつかみ合いとなり、インド軍兵士20人が死亡。双方とも核保有国である両国の関係は悪化している。中国側も被害があったことを認めているが、詳細は明らかにしていない。

 そうした中、インド外務省は6日、両国が5日に境界線沿いの衝突地点から「完全に撤退」し、「中印の境界地域での段階的な縮小」を保証することで合意したと述べた。

 また、中国中央テレビ(CCTV)は、協議についての発表で、同国側の代表者である王毅(Wang Yi)外相が、中国政府は「境界地域での平和を維持すると同時に、自国の領土的主権を守っていく」と語ったと伝えた。

 これに先立ち、インド軍の情報筋はAFPに対し、中国の人民解放軍(PLA)の兵士らが「テントや構造物を撤去しているのが見られた」とし、ガルワン渓谷で軍用車両を「後退させる動き」があったと説明。「軍部隊司令官の会合で合意した条件の通り、PLAの撤収が始まった」と述べた。

 同筋によると、インド軍は中国軍がどの程度まで後退したかを「確認中」だという。インド軍側も同様に撤収しているかについてはコメントしなかった。

 中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は同国の首都北京で6日、報道陣に対し、両国が「前線の部隊を撤退させ、境界の状況を緩和させるための明確な進展」を見せたと述べていた。(c)AFP