■大幅に遅れた世代交代「いつ、どのように起きるかは時間の問題」

 しかし長期的にロシア政府には、経済を徹底的に見直し、プーチン氏に下落した支持率を取り戻させるであろう真に必要な改革を導入する役割は果たせないかもしれない。

 英クイーンズ大学ベルファスト(Queen's University Belfast)教授で政治評論家のアレクサンドル・ティトフ(Alexander Titov)氏は、「プーチン氏には抜本的な経済改革を導入する能力はない」という。「そしてもし彼がそれを行わなければ、停滞したブレジネフ時代のように国民の人気や正統性が低下し、徐々に衰退していくだろう」

 そうした不満は特に若い有権者の間で強い。独立系の世論調査によると、若者の大部分が今回の改憲に反対していた。

 アナリストらは、プーチン氏は支配エリート集団に若い政治家を引き入れることができていない一方で、若い有権者にアピールする改革を導入できそうな新進の政治家らに政権を譲る可能性も低いと指摘する。「ロシアの世代交代は大幅に遅れている。もはやいつ、どのように起きるかは時間の問題だ」とトルドリューボフ氏はいう。

 同氏は、現状維持を貫こうとするロシア政府の決意は、「プーチン氏のためのパラノイア」と化す可能性があり、「時間がたつにつれ、状況はますます不安定になる」とみている。

 一方、ティトフ氏は、どのように権力移譲を行うかという問題を政府が先送りにすればするほど、「変化はより突然起きる」とみる。「変化に対する要求をあまりにも長く保留していると、そうでない場合よりもはるかに過激な形で爆発するだろう」 (c)AFP/Jonathan BROWN