【7月6日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領(67)は先週、自らの長期続投を可能とする憲法改正をめぐる国民投票を前に、国民に対して子孫に残したい国家の姿を思い描いてほしいと訴えた。

 だが専門家らは、プーチン氏の後継者を誰にするかという極めて重要な問題を先送りすることで、プーチン氏は自ら、政府への不満をあおりかねない政治的停滞の時代を招くリスクを冒していると警告する。

 旧ソ連時代の1960年代半ばから1980年代半ばにかけて、主にレオニード・ブレジネフ(Leonid Brezhnev)書記長が最高指導者だった悪名高き「停滞の時代」は、ソ連の終えんとその後何年にも及ぶロシアの混乱を引き起こす前兆となった。

 その時と同様、ロシア人を変化への希望がないまま放置するのは危険かもしれない。

「プーチン政権の弱点は、権力を移譲するメカニズムを持っていないことだ」と、ニュースサイト「メドゥーザ(Meduza)」に寄稿するジャーナリスト、マキシム・トルドリューボフ(Maxim Trudolyubov)氏は指摘する。

 プーチン氏の側近たちは、いつの日か彼の後継となる人物を、自由で公正な選挙によって決める方法に「強く不信感を抱いて」いると同氏はいう。「彼らはまるで自分たちは死なないかのように振る舞っているだけだ」

 1日に投開票が行われた国民投票で、ロシア人は77.92%の賛成で改憲を支持した。しかし現在、プーチン氏は難しい時期を迎えており、圧倒的な「賛成」票が同氏のとどまるところのない人気を反映しているわけではない。

 プーチン氏の支持率はここ数か月で、これまでにない59%という低さにまで急落している。部分的には新型コロナウイルスの流行初期における政府の対応への不満があるが、長年続いている景気低迷のせいでもある。

 アナリストらによると、すでに数年にわたる収入減に苦しむ国民に、新型ウイルス流行による経済的打撃が完全に広がる前に、プーチン氏は国民投票を終えたがったとされている。