【7月2日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で1日、イスラエルによるヨルダン川西岸(West Bank)併合計画に抗議するデモが行われ、パレスチナ人数千人が参加した。併合計画に対して国際社会から非難の声が高まっているが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、米国との協議は続いているとしている。

 右派・中道連立によるネタニヤフ政権は、米ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が今年1月に示した中東和平案に盛り込まれていた併合を、7月1日に開始するとしていた。

 これに対しボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は1日、イスラエルのヘブライ語日刊紙イディオト・アハロノト(Yedioth Ahronoth)に、自分は「イスラエルの熱心な擁護者」ではあるが、併合は「イスラエルの長期的な国益に反し」「国際法に違反するだろう」と寄稿した。

 さらにオーストラリア、フランスやドイツなど欧米諸国、国連(UN)に加え、イスラエルが関係改善を図っていた湾岸諸国も併合に反対の立場を示している。

 ただ、ドイツ議会は「一方的な制裁や、制裁を科すという脅し」をけん制する動議を可決した。このような制裁は、イスラエルとパレスチナの和平プロセスに「建設的効果をもたらさない」と説明している。

■イスラエル国内で反発も

 イスラエルのベニー・ガンツ(Benny Gantz)副首相兼国防相は、イスラエルとパレスチナで新型コロナウイルスの新規感染者が急増しており、流行が抑制されるまで併合は実施すべきではないと述べている。

 イスラエルは1967年の第3次中東戦争で東エルサレム(East Jerusalem)を、1981年にシリア国境のゴラン高原(Golan Heights)を併合したが、国際社会の大半からは承認されていない。

 一部の入植者はネタニヤフ氏に対し、ヨルダン川西岸でも同様の行動を起こすよう促している。一方、強硬派は、トランプ氏の和平案はパレスチナ国家にヨルダン川西岸の約70%に及ぶ地域が組み込まれることを想定しており、反対の立場を示している。(c)AFP/Ben Simon