【7月1日 AFP】インドネシアの環境保全当局は6月29日、絶滅の危機にひんしているスマトラトラ1頭が死んでいるのを発見したと報告した。毒殺とみられるという。1週間ほど前にも、毒殺が疑われる1頭の死骸が見つかったばかりだった。

 スマトラ(Sumatra)島アチェ(Aceh)州の環境保全当局は、死んでいたのは雌のトラで、その死骸は農園の近くにあったと述べ、「狩猟用のわなはなく、トラに外傷も一切ないことから、毒殺されたとみている」と明かした。

 先週も北スマトラ(North Sumatra)州にあるバタンガディス国立公園(Batang Gadis National Park)で雄のトラの死骸が埋められているのが発見されており、同じく毒殺が疑われている。

 同園によると、トラに家畜を殺されたことに腹を立てた農業従事者らが仕掛けたと、村長ら地元住民が話しているという。

 インドネシアでは、パーム油農園の開発のために熱帯雨林が伐採された地域で人間と動物間の衝突が頻発。スマトラ島ではこの1年間で、人がトラに襲われて死亡する事故が続いている。

 一方、野生動物の国際的な取引を調査・監視するNGO「トラフィック(Traffic)」によると、スマトラトラが死ぬのはほぼ全てが密猟によるもので、同国は密猟対策を講じている。

 トラの体の一部は、効能がないとの科学的証拠が圧倒的に多く見つかっているにもかかわらず、とりわけ中国で伝統薬として広く用いられている。(c)AFP