【6月29日 AFP】中国で拘束されているカナダ人男性の妻は28日、カナダで勾留中で米国が身柄引き渡しを求めている中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)幹部と夫らの交換を検討するよう求める要請をジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相が拒否したことについて、「失望した」と語った。

 トルドー氏は、中国当局に拘束されているカナダ人元外交官マイケル・コブリグ(Michael Kovrig)氏と実業家のマイケル・スペーバー(Michael Spavor)氏の釈放のため、ファーウェイの孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)の身柄引き渡し手続きを停止するよう要請を受けた。

 しかし、要請に応じればカナダ人を「無作為に拘束」するだけでカナダ政府に影響を及ぼせると示し、世界中のカナダ人を危険にさらすことになるとして、断固として拒否していた。

 コブリグ氏の妻ビナ・ナジブラ(Vina Nadjibulla)氏はカナダ民放CTVのインタビューで、カナダ政府は夫とスペーバー氏の解放と、他のカナダ国民を恣意(しい)的な拘束から守ることの両方に取り組むべきだと語った。

 ナジブラ氏は、「私たちは両方に取り組むことができる」「これは『マイケルを解放するためにできることは全部する必要がある』という問題でも『将来的にカナダ人を守る』という問題でもない」と語った。

 さらに、「どちらについても検討すべきで、政府は両方に取り組む責任がある」と続け、「無償の解決策は存在しない。私たちは代価を払わなければならない。誰が最も高い代償を支払うかという問いについては、今のところマイケル・コブリグとマイケル・スペーバー氏が払っている。それはまったく不公正だとカナダ国民が理解していると、私は信じている」と述べた。

 ナジブラ氏は長らくコメントを控えていたが、最近になって沈黙を破り夫の解放を訴えている。

 一方、中国は27日、在カナダ中国大使館の公式ウェブサイトで、カナダ人2人の拘束と孟氏の逮捕は「全く異なる」事柄だと主張。拘束されたカナダ人に関して「無責任な発言」をしたり、「メガホン外交」を利用して中国に圧力をかけたりするのをやめるようカナダに求めた。(c)AFP