【6月29日 AFP】フランスで28日、統一地方選の第2回投票(決選投票)が投開票され、記録的な低投票率の中で環境政党ヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)が躍進した。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の与党「共和国前進(LREM)」は各地で敗れた。

 開票速報に基づく予想によると、EELVはリヨン(Lyon)、ボルドー(Bordeaux)、ストラスブール、接戦となったリール(Lille)で勝利する見通し。

 パリ市長選は、現職のアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長の再選が確実となった。LREMの候補者、アニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)前保健相は大きく水をあけられ、右派政党候補のラシダ・ダチ(Rachida Dati)元法相に続く3位となっている。

 有権者は約1650万人で、投票率は40%程度と記録的な低さだったとみられる。大統領府によると、マクロン大統領は投票率の低さに懸念を示した一方、今回の選挙では「緑の波」が目立ったと認めたという。

 第1回投票は3月15日に行われた。第2回投票は3月22日に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた。アナリストらは、新型コロナウイルスの流行に加え、富裕層寄りで一般国民からは遠いとみられているマクロン氏とLREMに幻滅して投票に行かない人が多かった可能性があると指摘する。

 仏政府のシベット・ヌディアイ(Sibeth Ndiaye)報道官は、2016年4月結党のLREMの苦戦に失望感を示した。LREMが統一地方選を戦ったのは今回が初めてで、アナリストらは同党は地方に根付いていないと話している。

 マクロン大統領は統一地方選後に内閣改造をするとみられている。北部ノルマンディー(Normandy)地方の港湾都市ルアーブル(Le Havre)市長選で当選したエドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相の処遇は不明だ。

 フランスの法律では二つの行政職の兼任が認められているが、マクロン氏はこれを機に世論調査で自身より人気が高いフィリップ首相を交代させる可能性がある。

 次の大統領選まで1年10か月。マクロン氏の主なライバルは極右政党「国民連合(RN)」党首のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏だ。

 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、有権者にはマスクの着用とペンの持参が呼び掛けられた。感染防止用のフェースガードを着けた有権者や選挙職員の姿が多く見られた。南米の仏領ギアナ(Guiana)は、新型コロナウイルス流行が激しすぎるとして唯一今回の投票の実施が見送られた。(c)AFP/Mariëtte Le Roux and Stuart Williams