【6月28日 AFP】米国のスポーツ選手、そして1968年メキシコ五輪で人種差別との闘いの象徴となったジョン・カーロス(John Carlos)氏が、国際オリンピック委員会(IOC)に書簡を送り、五輪での抗議を禁止するルールを撤廃するよう求めた。

 書簡は米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)とカーロス氏が連名で送付した。カーロス氏はメキシコ五輪で、トミー・スミス(Tommie Smith)氏と共に表彰式で拳を突き上げる有名な「ブラックパワー・サリュート(Black Power Salute)」を行い、選手団から追放された。

 USOPCは、「選手が今後沈黙を強いられることがあってはならない」と訴えている。

「IOCや国際パラリンピック委員会(IPC)が、自らの信念を口にする選手を罰し、排除する道を歩み続けることはできない。その信念が、五輪精神の目標を体現したものであればなおさらだ」「スポーツの統括団体は、選手や選手団体との透明な協力のもと、五輪やパラリンピックでの選手の自己表現の在り方を見直すという、責任ある仕事を始めるべきだ」

 米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で、武器を持たない黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察の拘束下で死亡する事件が起こった5月以降、人種差別に対する抗議活動は米内外で大きな広がりを見せ、あらゆる「デモンストレーションや政治的、宗教的、人種的なプロパガンダ」を禁じる五輪の規則についても、改めて厳しい目が向けられている。

 そのためUSOPCは、抗議が活発化してからの数週間で、スポーツ当局が「耳を傾けず、人種差別や不平等を容認してきた」ことを認め、選手の抗議に関する規則の見直しを約束している。

 1月に選手の活動に関する指針を刷新し、表彰式や競技中の抗議を禁止したIOCも、ルールの緩和を示唆し、アスリート委員会の主導で話し合いを行い、反人種差別の取り組みを「堂々と」支持できるようにする方法を模索することを歓迎している。(c)AFP