【6月3日 AFP】米ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さん(46)が警察の拘束下で死亡した事件について、国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長は2日、事件に抗議し、正義を求めた選手には処分よりも拍手がふさわしいと話した。

 ドイツ・ブンデスリーガ1部では今節、3チームの4選手がフロイドさんを悼む行動を起こし、ボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)のジェイドン・サンチョ(Jadon Sancho)ら3人がドイツサッカー連盟(DFB)の調査対象になっている。

 しかしインファンティーノ会長は「はっきり言わせてもらうと、先日ブンデスリーガの試合で選手が見せた行動にふさわしいのは、処分よりも拍手だ」「われわれは人種差別を含めたあらゆる差別にノーと言わなくてはならない。あらゆる種類の暴力にもだ」と話した。

 サンチョは先月31日の試合で、得点後にユニホームをめくって「ジョージ・フロイドのために正義を」と書かれたシャツを見せ、同僚のアクラフ・ハキミ(Achraf Hakimi)とシャルケ04(Schalke04)のウェストン・マケニー(Weston McKennie)も同様のメッセージを発した。

 またボルシア・メンヘングラッドバッハ(Borussia Moenchengladbach)のFWで、フランス代表としてW杯優勝も経験しているリリアン・テュラム(Lilian Thuram)氏の息子マルクス・テュラム(Marcus Thuram)は、得点後に膝をついてフロイドさんの死を悼んだ。

 サッカーの規則を定める国際サッカー評議会(IFAB)のルールでは、選手が政治や宗教、個人の価値観に関するスローガンや声明、イメージを示すことは禁止されている。

 しかし反人種差別の活動を展開するFIFAは、サンチョらへの処分は必ずしも必要ではないと示唆し、政治的なメッセージを発した選手への処分は「常識」で判断してほしいと各国リーグに促している。

「IFABが承認した規則をどう適用するかは、各大会の主催者の裁量に委ねられている。主催者は常識を使い、出来事をめぐる状況を考慮すべきだ」

 DFBはIFABのルールに従って調査を進めているが、フリッツ・ケラー(Fritz Keller)会長は4選手の行動に理解を示している。

 白人警官に手錠をかけられ、膝で首を数分間押さえつけられて死亡したフロイドさんの事件以降、米国では抗議活動が続き、一部では暴動も発生している。(c)AFP