【6月25日 AFP】パキスタン南部カラチ(Karachi)で先月、旅客機が墜落し98人が死亡した事故で、暫定調査結果をまとめた報告書が24日に発表され、機長と副操縦士が新型コロナウイルスについての会話に気を取られ、車輪を上げたまま着陸を試みていたことが明らかとなった。

 5月22日に起きた事故では、パキスタン航空(Pakistan International Airlines)のエアバス(Airbus)A320型機が両エンジンの故障を起こし、ジンナー国際空港(Jinnah International Airport)への2度目の着陸を試みた際に住宅密集地域に墜落。乗客乗員99人のうち97人と、地上にいた子ども1人が死亡した。

 報告書では、墜落直前の混乱した状況や、一連の奇妙なミスに、管制官と操縦士の間の連絡の不備が重なったことが説明されている。

 報告書によると、事故機は最初に着陸を試みた際、高度が規定の2倍以上あったため、管制官は操縦士らに対し、旋回してよりゆるやかな降下をするよう指示。しかし、操縦士らは車輪を上げたものの、そのまま着陸を試みた。

 管制官は事故機のエンジンが滑走路に接触し火花を散らしたのを確認したが、操縦士らには伝えなかった。エンジンは激しく損傷し、同機が2度目の着陸を試みた際に機能不全に陥った。

 同国のグラム・サルワル・カーン(Ghulam Sarwar Khan)航空相は議会に対し、操縦士らは自動操縦機能を切り、着陸しようとした際には新型コロナウイルスについて話していたと説明した。

 サルワル氏は「機長と副操縦士は集中しておらず、終始コロナの話をしていた。頭の中は(ウイルスのことで)いっぱいだった。家族がウイルスの影響を受けており、彼らはその話をしていた」と言明。「残念なことに、機長は自信過剰だった」と述べた。(c)AFP/Zain Zaman Janjua and Sajjad Tarakzai