【6月29日 東方新報】中国の麺文化を代表する蘭州市(Lanzhou)の牛肉ラーメン(蘭州牛肉麺)。その素晴らしさをクリエーティブに表現する「精緻蘭州・麺享未来—蘭州牛肉ラーメン文化クリエーティブ招待展」が20日、蘭州で始動した。甘粛省(Gansu)商務庁、甘粛省文学芸術界聯合会、甘粛省美術家協会および蘭州市商務局、蘭州デザイナーズ協会、蘭州牛肉ラーメン産業界の共催イベントで、デザイナーやクリエイターたちに、蘭州牛肉ラーメンの文化的奥深さをポスターやグラフィック、出版、コピーライトなどで表現してもらい、展示する。

 蘭州デザイナーズ協会の馬永沢(Ma Yongze)会長によれば、このイベントを通じて、文化クリエーティブ事業に携わる人材と関連産業をリンクさせるサービスプラットフォームを打ち立てたいという。クリエーティブ業界と蘭州牛肉ラーメン業界との融合を通じて、伝統産業に新たな活力を注入し、新たな雇用や起業気合を生んでいくのが狙い。

 日本でも少しずつ店舗が増えている蘭州牛肉ラーメンは、1915年に回族・馬保子(Ma Baozi)が考案したのが元祖といわれている。その起源は唐代までさかのぼるそうだ。現代の蘭州牛肉ラーメンは、羊と牛の内臓からとった澄んだスープに、手打ち細麺を入れ、香り高く煮込んだ牛肉の具とパクチーとラー油をたっぷりかけたエスニックなの風味が特徴だ。豚骨を使っていないハラル食品でもある。イスラム教徒である回族の多い甘粛省の名物料理として100年あまりかけて発展し、今や中国国内外に一定の産業規模を誇り、中国のおいしい麺といえば、筆頭はこの蘭州牛肉ラーメンがあげられる。

 日本でもブームになり始めており、カップヌードルに蘭州牛肉麺味が2019年春に発売されたり、蘭州ラーメン店としては唯一中国政府が「老字号(老舗)」の称号を与える「馬子禄(Mazilu)」のチェーン店が東京に進出したり、本場よりおいしいという名店「ザムザムの泉」(埼玉県西川口)がラーメン業界最高権威の東京ラーメン大賞TRY(2018〜19)新人賞を受賞したりと、なにかと話題だ。

 馬永沢会長は、「蘭州は百年かけてこの牛肉ラーメン産業を打ち立てた。今や中国西部で100万人がこの産業に携わり、さらには国内外で雇用や起業チャンスを生んでいる。そうした蘭州『百年一麺』の思想・理念がこのイベントの源だ」という。

 イベントでは、蘭州牛肉ラーメンについて人文地理的、歴史文化的背景などを紹介し、消費者にその文化的意味を理解してもらうために、クリエイターたちに文化作品を創作してもらい、展示、出版などを通じて、蘭州牛肉ラーメンの魅力を広めていく。蘭州牛肉ラーメンの文化的イメージを広めれば、その産業は深みを増し、雇用と起業機会の拡大につながるとの期待がある。

 蘭州牛肉ラーメン産業協会の馬利民(Ma Limin)会長も「クリエーティブなデザインを通じて、消費者に蘭州牛肉面の奥深さをわかってもらえる。蘭州牛肉ラーメン業界に従事する者として、積極的にこのイベントを支持し、牛肉ラーメン業界を挙げて、イベントの成果を牛肉ラーメン市場の発展に転化していきたい」と語っていた。(c)東方新報/AFPBB News