【6月26日 AFP】「黄禍はブラックパワーを支持する」──反人種差別デモが米国中に拡大した時、ベトナム生まれ米国育ちのベト・ホアイ・チャン(Viet Hoai Tran)さん(27)は、自分のプラカードに何を書くか既に心に決めていた。「もし正義や自由、変革のために闘うなら…私たち全員が関わらなくてはいけない」とチャンさんは言った。

 米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で、白人警官に拘束された際に黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが死亡した事件をきっかけに、反人種差別デモが全国的に広がった。

 フロイドさんの事件はまた、アフリカ系米国人と歴史的に緊張関係にあり、暴力的な対立が起こったこともあるアジア系米国人コミュニティーに「罰」という思いも引き起こした。特に、フロイドさんの事件の現場にいた警官の一人が、東南アジアの山岳少数民族モン(Hmong)だったことが、多くのアジア系米国人にコミュニティーとして共犯関係と向き合わなければという気持ちを起こさせたのだった。

「黄禍」という言葉は、東アジア人に乗っ取られるという数世紀にわたる西洋の恐れを表した人種的中傷だったが、アジア系米国人らは黒人コミュニティーとの連携を示す意味で使い始めている。

「アジア・太平洋諸島系(AAPI)米国人の間で、黒人に対する反感は非常に強かった」とチャンさんは話す。

 その最悪の例の一つが、米カリフォルニア州で黒人男性ロドニー・キング(Rodney King)さんが警官に暴行されたことが発端となり1992年に発生した「ロサンゼルス暴動」だ。

 暴動の多くは韓国人街付近で起こった。ロサンゼルス警察に見放されたと感じた韓国系店舗のオーナーらは店を守るため、抗議活動に参加している黒人を屋根から狙撃したのだった。

「われわれアジア系米国人は反黒人感情を長引かせることに加担し、白人至上主義から利益を得ている」と、アジア系米国人の権利擁護団体OCAナショナル(OCA National)のケビン・クァック(Kevin Quach)氏はAFPに語った。