【6月24日 東方新報】中国の広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)で今月15日、第127回広州交易会(広交会、中国輸出入商品交易会)が開幕した。例年、春と秋に行われる同国最大規模の輸出入品見本市でもある広交会の成功は、新型コロナウイルス感染症まん延後の中国と周辺国の経済の先行きを占うという意味でも注目された。

 今回の広交会の特徴は1957年の第一回開催から63年以来、初めて「クラウド」上で開催されたということだろう。例年、会場には世界各国から20万人以上の出展者、バイヤーたちが集まる。だが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックはいまだ収束せず、ほとんどの国で渡航制限がかかっている。


 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、中国の対外貿易は今年上半期谷底に陥った。税関総署の発表では、今年5月、中国対外貿易輸出入総額は2兆4700億元(約37兆円)で前年同期比4.9%減、前月比で0.7%減となった。こうした低迷を乗り越え、中国の対外開放を拡大し、外国貿易企業を助けて国際市場を開拓するためにも、この広交会を中止させるわけにはいかなった。そこで、考えたのが5G通信の実力をフルに活用した、クラウド上の「広交会」という新しい形の見本市だ。

 2万6000社以上の企業が、クラウド上のプラットフォームに出展し、50以上の展示エリアで、180万件の輸出用商品を展示。商談も微信などを通じて行われるようにした。

 従来、広交会は出展者とバイヤーが、展示会場の琶州(Pazhou)広交会展館の会場まできて、面談で取引をおこなっていたのだが、今回は、国内外からリモート通信の画面越しで商談、オンラインで発注、取引が可能。感染のリスクもなく、出張費もかからず、時間のロスも少なく、低コストで素早くビジネスチャンスを得ることができると、大好評だ。

 オンラインプラットフォームは展示、供給・調達、会議サービス、越境電子商取引などの五つの主要セクションが設置され、電子、家電、照明、金属工具、建材、日用品など16カテゴリーに分類された商品を50の展示エリアで紹介している。出展者はグラフィックや動画、3D,VRなどさまざまな方法で商品情報を発信し、バイヤーはクリックするだけで、必要な情報を探し出せる。

 これほどの大規模なオンライン展示は、中国のインターネット技術にとっても大きな挑戦だった。騰訊(テンセント、Tencent)の専門家1000人以上が5つの事業群にわたって22の個別部門をサポート。6月15日から24日までの会期中、世界中から参加する企業のために、24時間態勢のライブ中継室も設置した。また微信(ウィーチャット、WeChat)を通じて、広交会のイベント情報を発信し続け、出展者や展示品の紹介サービスも行っている。世界中どこからもネットを通じて産品や企業のサーチができる。開幕日の15日にはおよそ5000の展示ライブ中継がほぼ同時に行われたが、回線速度も全く問題なかった。

 広交会の報道官で、中国対外貿易センターの徐兵(Xu Bing)副主任は「新型コロナウイルスの影響を受けて、わが国の対売貿易発展は未曾有(みぞう)の挑戦に直面している。広交会の全方位的な対外開放プラットフォーム機能を十分に発揮して、中国企業の市場開拓とシェア維持を助けるために、広交会は、デジタル技術を存分に運用して、クラウド展示で中国と外国企業の新産品を展示し、中国、外国企業がともにウィンウィンの新ビジネスチャンスを創造できるようにした」「63年の歴史がある広交会すべてをクラウドで行ったことは、単純にこれまでのスタイルをコピーではなく、すべて新しい発展理念のイノベーションと業務のプロセスの再構築を行ったということで、さらに深い次元のデジタル化の全く新しい試みだ」と自信を見せていた。

 新型コロナウイルス感染症で必要に迫られた試みだったが、クラウド広交会は今後のグローバル経済の流れを変えていくアイデアと技術も満載の国際見本市となっている。(c)東方新報/AFPBB News