【6月23日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、オクラホマ州タルサ(Tulsa)で20日に開いた選挙集会が失敗に終わったことを受け、挽回の必要性に迫られている。トランプ氏は集会で、国内で生じている新型コロナウイルス流行と人種問題のデモという2つの危機について、民意をくみ取れないリーダーとの印象を残した。

 タルサの集会は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により中断されていた選挙活動の再開を盛大に記念する集会となるはずだった。だが集会会場には空席が目立った上、トランプ氏のパフォーマンスには、2016年の大統領選でヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏に対し予想外の勝利を収めたエネルギーを取り戻そうとする疲れたショーマンのような雰囲気が出ていた。

 トランプ氏は1時間43分の演説のうち14分余りを、ウエストポイント(West Point)にある陸軍士官学校での演説後にスロープを下りた際に足元がおぼつかなかった理由の釈明に費やした。

 タルサからホワイトハウス(White House)に戻ったトランプ氏は、ネクタイをほどき、不機嫌な様子でヘリコプターを降りた。その憂鬱(ゆううつ)な雰囲気には、11月3日の選挙まで残り133日ながらも選挙活動で苦戦を強いられている現況がにじみ出ていた。世論調査では一貫して、民主党候補のジョー・バイデン(Joe Biden)氏がトランプ氏より優勢との結果が出ている。

 22日朝のトランプ氏のツイッター(Twitter)への投稿からは、前日のゴルフでも気分が良くならなかったことがうかがえる。同氏は「不正操作された2020年選挙:数百万枚の郵便投票用紙が外国などにより印刷される。現代史上最大のスキャンダルになる!」と書き込んだ。

 今年の大統領選では、新型ウイルス流行のため郵便投票の重要性が高まる見込みだが、トランプ氏はこれまで頻繁に、郵便投票は不正を誘発するという根拠のない主張を展開してきた。

 米政界では、トランプ陣営の選挙対策責任者であるブラッド・パースケール(Brad Parscale)氏の解任を含む人事刷新の可能性をめぐる臆測が飛び交っているが、今のところそうした発表はない。

 5月の就任時に「ジャーナリストに決してうそをつかない」と約束していたケイリー・マケナニー(Kayleigh McEnany)大統領報道官は22日、タルサの集会で空席が目立ったことにトランプ氏が怒っているとの報道を否定。「大統領は全く怒っていなかった」「大統領は非常に活気づいていた」と述べた。(c)AFP/Jerome CARTILLIER