【6月19日 AFP】中国は、首都北京で最近新たに発生した新型コロナウイルスの集団感染で検出されたウイルス株のゲノム情報を公開した。国の衛生当局は、欧州のウイルス株との類似点を指摘している。

 北京の集団感染で先週以降に確認された感染者数は計183人となっている。現在、数万人を対象とした検査が進められている。当局は食品卸売市場「新発地(Xinfadi)」に関係する集団感染のさらなる拡大を阻止するため、周辺地区を封鎖し、学校を閉鎖した。

 18日には、この集団感染で検出された新型ウイルスのゲノム情報が、世界保健機関(WHO)や各国研究機関に公開された。

 中国疾病対策予防センター(CCDC)の張勇(Zhang Yong)氏は今回の北京の集団感染のウイルスについて、暫定報告で「欧州由来」であることが示唆されたと発表。ただし、現在欧州で流行しているウイルス株とは別物だとしている。

 張氏は中国共産党の汚職監視機関が19日に公表した報告書の中で、今回の北京のウイルス株は「欧州に今広がっているウイルス株より古い」としている。

 今回のウイルスは、新発地市場の輸入サーモンを加工していたまな板から検出された。しかし研究者らは、性急な結論は避けるべきだと警告している。

 香港大学(University of Hong Kong)の公衆衛生学院のベン・カウリング(Ben Cowling)教授はAFPに対し、「現在北京で流行している新型ウイルスは、武漢(Wuhan)から欧州に入り、また中国に戻ってきた可能性もある」と述べた。

 だが同氏は、今回の流行の最初の症例が依然特定されていないことから、この集団感染の端緒を解明するには既に手遅れである恐れもあると話している。(c)AFP