【6月17日 AFP】(更新)中印国境の係争地帯で両国軍の衝突が発生した問題で、中国国営メディアは17日、大々的な報道は差し控え、中国側の死者数の公表も避けた。一方ソーシャルメディア上では、中国のユーザーらから「報復」を求める声が上がっている。

 インド軍は16日、ヒマラヤ(Himalaya)にある対中国国境の係争地帯で「暴力的な衝突」が起き、インド側の兵士20人が死亡したと明かすとともに、「双方に犠牲者が出た」と発表。

 印メディアは、中国軍兵士少なくとも40人が死亡または重傷を負ったと報じている。

 中国政府は翌17日、「状況の鎮静化」のため、両国高官が協議したと発表した。ただ中国側は、自軍の死傷者数は公表していない。

 中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は同日の定例会見で、国境を違法に越え、中国軍を攻撃してきたのはインド軍側だったと再度主張し、やはり犠牲者に関する詳細は触れなかった。

 趙氏は、「両国はこの問題を対話と交渉で解決していく」「われわれはもちろん、これ以上衝突が起きることを望んでいない」と話した。

 中国国営メディアは、近年最も激しい衝突だったにもかかわらず、比較的抑えた報道にとどめている。

 中国共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)は、インド側の死者数は報じたものの、中国側は自国の犠牲者に関する情報を公表していないと伝えた。

 同紙は社説で、中国政府が衝突での死者数を明かさなかったのは「比較を避け、対立感情をあおらないようにするため」だと論じ、対するインド側の「傲慢(ごうまん)さと無謀さ」を非難した。

 中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」のユーザーらは報復を叫んでいる。

「もしインドを殴り殺さなければ、この種の挑発は永遠になくならないだろう」「あまりの怒りで頭に血が上っている」といった投稿が相次いだ。(c)AFP